「せっかく儲けたのに、損益通算のために確定申告したら、税金だけじゃなくて国民健康保険料や介護保険料まであがってしまった。」という話です。みなさん、税金が上がるのはわかっているのですが、まさか国民健康保険等他の所得によって金額があがる部分には目がいきません。そのため、せっかく儲けた分の半分が結局税金や保険料に消えてしまうということをよく聞きます。そんな損をしないためには、「申告不要制度」をしっておく必要があります。今回は、「申告不要制度」とはなにか、どのように申請すればよいのか、いつまでに申告すればよいのかを紹介します。
「申告不要制度」とは
「申告不要制度」とは源泉徴収20.315%がに入金される際にはじめからひかれて口座に入ります。
平成29年度税制改正で(地方税)
〈個人住民税〉
(9) 上場株式等に係る配当所得等について、市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する。
と上場株式等の配当所得や譲渡所得について、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができることが明確化されました。
納税者は上場株式等の配当所得や譲渡所得(特定口座で源泉徴収選択)について「申告不要制度」「申告分離制度」「総合課税」の3つの課税方式から自分で任意に選択することができます。平成29年度税制改正により、納税者が所得税と住民税で異なる課税方式を選択することで、自分に有利な方式を選択できる手続きが明確化されました。
以前より異なる方式を選択できるとあったのですが、手続きが示されておらず、多くの方が所得税の確定申告書を提出し、住民税の申告書を提出せず、所得税の確定申告書の提出により住民税の申告書を提出したとみなされ、上場株式等の配当所得等について所得税と住民税で同じ課税方式が適用されてきました。
しかし今回の改正により、確定申告書を提出し、市町村民税の納税通知書が送達されるまでに、これらの上場株式等の配当等について「申告不要制度」を選択することを市町村の住民税担当課に申請することにより、配当や譲渡所得が住民税を計算する際の課税所得に含まれなくなります。
「申告不要制度」を利用するメリット
住民税は「申告不要制度」を利用すると、国民健康保険料等の値上がりを抑えることができます。人によって異なりますが、住民税の課税所得で保険料が決まる「国民健康保険料」「国民健康保険の自己負担額や高額療養費の所得区分」「介護保険料」「保育料」等は所得税を確定申告していた場合に住民税では「申告不要制度」を利用すれば、配当や譲渡所得による値上がりを抑えることができます。ただし、配当控除等は受けれなくなりますので、ご自身の状況とよく照らしあわせて考えてください。
どのように申告すればいいのか
お住いの住民税担当課にて申請をします。申告書に記載欄を設けている市町村もあれば、設けていない市町村もあります。お住いの市町村の住民税担当課に問い合わせするのが一番です。また、担当者によっては詳しくない人もいるので、きちんと教えてくれる担当者に話をするのがよいです。また、住民税申告書の提出がない場合は、所得税と同様の課税方式が適用となります。
いつまでに申告すればいいのか。
市町村によって異なりますが、「住民税の納税通知書」が送達される前までに申告する必要があります。6月に納税通知書を発送する市町村が多いですが、確定申告をした際に2月から4月中には住民税の申告も行うほうがよいでしょう。(市町村により申告方法や申告時期が異なりますので、前もってお住いの市町村に確認しておきましょう。)
まとめ
今回は住民税の「申告不要制度」を使うことで、国民健康保険料や保育料等の値上がりを抑える方法を紹介しました。せっかく、株式で儲けたのに税金や保険料で損がでないように申告前にはどの申告方法を取れば自分にとって一番有利かを考えたうえで申告するようにしましょう。